話題のPICOレーザー、刺青除去の秘密兵器って本当?
刺青の除去にレーザー治療が有効であるというのは、すでに多くの医療機関で実証されています。「時間はかかるが効果はあった」という感想がよく聞かれるので、その方々はレーザー治療の実力を実感されていることでしょう。 しかし、レーザー治療にはレーザーそのものの特性によって「苦手な色」があります。光を当てることで発熱しやすい黒っぽい色については効果を発揮しやすいのですが、その一方で緑や青、黄色などはレーザーが反応しにくいので消しづらい色だと見なされてきたのです。 しかし、ここにきてその問題を一挙に解決する可能性を持つ治療機器が登場したと言われているのが、PICOレーザーです。 PICOレーザーとは何か?その可能性と今後の刺青除去治療との関わりをお話ししたいと思います。
PICOというのは数値を表す単位のことで、100分の1を表すミリより100分の1であるナノ、さらにナノの100分の1がピコ(PICO)です。このPICOは何がPICOなのかと言いますと、1秒の1兆分の1、つまり1ピコ秒という極めて短い時間を使ったレーザー照射ができるという意味です。 そもそもこのPICOレーザーは、刺青の除去というよりもシミやそばかす、くすみなどを取るための美容医療機器として開発されました。シミやくすみといった症状も皮膚の中に色素が沈着することで起きるので、レーザーを照射することで色素を破壊、粉々になった色素をマクロファージに食べてもらうというのが治療のセオリーです。 皮膚の中の色素を破壊できるということは刺青にも効果があるということで、PICOレーザーは刺青の除去に応用されています。
【マクロファージとは?】 貪食細胞とも呼ばれ、体内に入ってきた細菌や異物、ウイルスなどを食べてくれる頼もしい存在です。PICOレーザーによって粉々にされた色素も異物としてマクロファージが食べてくれるので、自然の働きで刺青を消すことができます。
レーザーを皮膚に当てれば当てるほど色素に反応するので短時間に大きな治療効果を得ることができるのですが、レーザーが色素に反応をすると発熱するため、それが続くと肌を火傷させてしまいます。レーザー照射の時間を短くすることは、肌を守るためということです。肌へのダメージがとても少ないメリットをいかして治療をするので、短時間でより高い効果が期待できます。
レーザー治療の秘密兵器として注目されているPICOレーザーですが、もちろんその一方でデメリットや知っておくべきこともあります。まず、こればかりはレーザーの性能が高いので仕方ないことですが、痛みが少なからずあります。 刺青の除去だけでなく、シミやくすみの治療でもPICOレーザーによる治療が続かない人の多くは、この痛みが気になるようです。もちろん痛みがあるといっても他の治療法と比べるとそれほど大きなものではないのですが、少しの痛みでも気になるという人にとっては不安に感じるのも仕方ありません。
もうひとつ、PICOレーザーで知っておきたいことは費用の問題です。最新の医療機器ということもあってPICOレーザーの導入にはお金がかかります。それをペイするためには、どうしてもPICOレーザーを使った刺青除去は費用が高くなりがちです。 現在多くの医療機関で導入されているYAGレーザーも、普及し始めた頃は高価だったので、それについてはPICOレーザーも今後同じように普及が進めば価格のお手軽感は増してくると思います。 刺青除去に関する性能については期待される部分が多いPICOレーザーだけに、今後さらに性能の向上とお手頃な価格に期待したいところです。