レーザーによる刺青除去の痛みに対する誤解と正解
刺青(タトゥー)を消すためにレーザー治療器が用いられていることは、すでに広く知られています。レーザー治療に対する認知度が高まっている一方で、レーザー治療に対するイメージばかりが独り歩きしている感もあり、そのことに警鐘を鳴らす医療関係者も少なくありません。当院でもさまざまな治療にレーザー治療器を利用していますが、レーザー治療に対する実際の部分とイメージにギャップがあると感じることは多々あります。 そこで、レーザー治療とはどんなものか?特に痛みに関する誤解と正解を論じてみたいと思います。
ぶっちゃけたところ、レーザー治療は「痛いです」。レーザーは光のエネルギーを集めたもので、そのエネルギーを使って皮膚の中にある色素を破壊することで刺青を薄くする、分かりにくくする効果が期待できる治療法です。 同じようにシミやそばかすを消すためにもレーザー治療が使われますが、これも皮膚の中に沈着してしまっているメラニン色素を破壊して、小さくなった色素をマクロファージという貪食細胞に食べてもらうというものです。 ここで重要なのが、「皮膚の中にある色素を破壊する」という点と、「そのためにレーザーを使う」という事実です。 レーザーはご存知のように兵器にも使われるほどの破壊力を持っているので、人体用のものとはいえそれを照射するのですから、その時に痛みを感じるのは事実です。皮膚の中にそのパワーを届ける必要があるので、皮膚の表面では痛みが発生しますし、軽いやけどのような状態になります。
よく痛みに対する解説で「輪ゴムをパチンと弾いたような感じ」というくだりがありますが、これについても痛みに対する感じ方は個人差や主観の違いがあるので、一概には言えません。輪ゴムを強く弾いた感じだとかなり痛いでしょうし、軽く弾いた感じならそれほど痛くないでしょう。同じ輪ゴムでも強さによって違いがあるので、痛みを知る参考にはなりにくいかも知れませんが、どんな種類の痛みを感じるのかという点においては参考になると思います。
さて、そんなに痛いのであればやっぱりやめておこうとお考えの方も出てくるでしょう。誰でも痛いと分かっていることをわざわざしようとはしません。 しかし、刺青の除去となると少々話が違ってきます。なぜなら、刺青は皮膚に針を刺して入れていくので、刺青がすでに入っている人はその痛みを耐えられた人だということです。 その上、医療機関で行っている刺青除去治療には、痛みを緩和するノウハウがあります。皮膚を冷却することで感覚を鈍くさせて緩和する方法や、レーザーを照射する時間を極めて短い時間にして影響を最小限にする、といった具合です。 痛みの緩和も含めて医療機関だと設備も充実していて安全度も高いので、痛みへの不安がおありの場合は、なおさら医療機関での刺青除去が最も安全で確実なのです。