剥削法による刺青除去のメリットと、特に注意したいデメリットとは

刺青除去の方法に「剥削法」という治療があることをご存知でしょうか。「剥削法」の他に、「皮膚剥削法」と呼ばれることもあります。剥削という言葉には「剥がす」と「削る」という意味の漢字が使われているので、文字通り刺青を削って剥がす治療法です。 切除法は刺青のある皮膚を取り除いてつなぎあわせる治療法ですが、この剥削法は皮膚のうち刺青の色素が入っている部分だけを表面から削り取るところに違いがあります。 刺青の状態によっては一度の治療で刺青を取り除くことができるため、刺青を早く消したい事情がある方にとっては魅力的な治療法です。 しかし、当院ではこの治療法は採用していません。その理由をお話ししたいと思います。
剥削法は比較的シンプルな治療法なので、早くて安いというメリットは確かにあります。刺青の幅によっては一度の治療で取り除くことができるので、「〇月〇日までに消したい」という結婚などの事情を抱えている方には有効でしょう。 レーザー治療は刺青の色によって得手不得手がありますが、この剥削法については色や色素の深さに関係なく取り除くことができます。 これだけメリットが多いのであれば、もっと積極的に採用するべきではないかと思うのですが、そうとも言い切れません。
まず気になるのが、傷痕が目立ちやすいこと。皮膚というのは幾重にも層が重なるような構造になっていて、それぞれの層には役割があって1つの皮膚を形成しています。それを部分的に取り除くということは、皮膚が本来の姿ではいられなくなることを意味します。 剥削法によって刺青を除去した傷痕はアザのようになり、それは時間が経ってもその状態で残ってしまいます。いかにも「刺青を消した」というようにも見えますし、そうでなくてもケガをしたような見た目になります。 また、皮膚の表面を取り除くことでその部分の色と周辺の皮膚との色に違いができてしまい、やはりその部分が目立ってしまいます。 刺青の除去は見栄えを良くするという意味も含まれていますが、剥削法だと見栄えの部分で新たな問題が生じやすいのです。 剥削法によって刺青部分の皮膚を削り取ると、その部分がひきつれたように感じることがあります。これを拘縮というのですが、常に皮膚が張っているような違和感を持ちながら生活をするのはストレスの原因にもなるので決して良いことではありません。
早く刺青の除去ができて治療費が安いというメリットに対して、傷痕が汚く残ってしまうことと、拘縮(ひきつれ)の問題。これらが剥削法のメリットとデメリットですが、これらのバランスを考えた上で何を優先するかによって治療法を選びましょう。 当院は形成美容クリニックなので、傷痕が汚く残ってしまうことが分かっていながらその治療法を採用するのは適切ではないと考えています。