実は刺青を入れた人の3人に1人が「刺青を消したい」と思っていた

消したい刺青にお悩みの多くの人にとって、刺青もしくはタトゥーを入れる時の動機は気軽なものだと思います。最近ではミュージシャンやスポーツ選手など有名人の中にもタトゥーを入れている人が多くなったので、そんな人への憧れや「カッコいい」というイメージも手伝って、刺青を入れたという人は少なくないでしょう。 しかし、そんな軽い動機で刺青を入れた人のその後を見てみると、「刺青を消したい」と思っている人がなんと3人に1人という高比率に上るそうです。 自分の意思で入れた刺青なのに、なぜ3人に1人もの人たちが消したいと思うようになるのか。その心の内について、現場で多くの患者さんと向き合ってきた経験で感じたことをお話ししたいと思います。

最も多いのは、就職や結婚など人生の転機を迎えた時に刺青が邪魔になってしまうというケースです。就職先にもよると思いますが、お堅い職業に勤めようと思うと刺青があるだけで採用されなかったり、就職した後でも刺青を到底カミングアウトできないような職場の空気を感じて、ずっと隠しながら働かなければならないことへの不安などが刺青を除去したいという気持ちにつながります。 また、結婚の際にも結婚相手が刺青の入っている状態を良く思わない場合、女性の場合はウェディングドレスを着る際に見えてしまうことに抵抗がある、といった理由で刺青を消したいと思う人が多くなります。 結婚に至る前であっても、交際段階で刺青を入れていることが相手に分かった時点で無条件で破局してしまったという事例もあるため、結婚を意識するような男女のお付き合いが始まるのに合わせて刺青を消したいと思う人も多いようです。

スポーツジムや銭湯、温泉などといった肌の露出が多くなる施設には必ずといっていいほど「刺青お断り」という注意書きがあります。単に刺青があるだけでどんな人格の人なのか分からないのに門前払いとは!という反発の声もありますが、刺青が入っている人が同じスペースにいるだけで不安や恐怖を感じる人がいるという施設側の言い分には、反論の余地がありません。 明確に刺青お断りと定めている施設以外にも、刺青があることが分かると居づらくなる場所は他にも無数にあります。 こうした不便さや肩身の狭さを感じたことで、刺青を消したいと思う人も多くいます。

あまり知られていないことですが、刺青がある人は生命保険に加入できません。これは反社会的勢力との関わりを排除するという企業コンプライアンスに基づくものですが、「自分はそうではない」と言っても無条件に契約を断られてしまいます。 社会全体が刺青に対して何らかの偏った目を持っていることは間違いなく、その目に晒されることに耐え切れなくなった人が「刺青を消したい」と思って医療機関に訪れるというケースは、刺青(タトゥー)を入れている人がこれだけ多いことを考えると、今後も多くなると思われます。

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