アートメイクは刺青の一種!安易に入れると消すのが難しくなります
少し以前から注目を集めているアートメイクをご存じでしょうか。メイク崩れの心配がない「化粧」として人気を集め、今も多くの人がアートメイクを入れる施術を受けています。 具体的には眉毛を描く代わりにアートメイクで固定したり、アイラインの代わりにまぶたにアートメイクを入れるといった具合です。一度アートメイクを入れると確かにメイク崩れがなく、いちいちラインを描く必要がないので楽なのですが、アートメイクも立派な刺青の一種なので、安易に入れると思いがけない事態になることがあります。
アートメイクという言葉を使っているため分かりにくい部分があるのですが、アートメイクは皮膚に針を刺し、そこから色素を入れていくことで皮膚に色を沈着させるものです。つまり刺青とやっていることは全く同じなので、アートメイクは刺青と同類です。 「タトゥー」という言葉の響きでカッコ良く感じた人が刺青を入れる例は多くあります。このアートメイクも言葉のニュアンスから刺青であることが分かりにくくなっていますが、刺青と何ら変わらないものであることを押さえておいてください。
アートメイクは眉毛やアイラインに入れることが多いのですが、これらは要するに眉毛を描くことやアイラインを引く代わりに刺青を入れ、落ちないようにすることでメイクの役割を持たせるというものです。 確かに毎朝そこにメイクをする必要がないので楽という声も多いのですが、問題は「そのデザインが気に入らなくなった時」です。メイクであれば新しい製品を購入してそれを使えば良いだけの話ですが、アートメイクも同じように「気に入らなくなったから消して新しいアートメイクを入れる」というわけにはいきません。
アートメイクは刺青と同じものなので、消せるかどうかの判断も刺青と同じであると考えることになります。アートメイクは刺青と違うので皮膚の浅いところに色素を入れているだけで、簡単に消せるという宣伝文句を目にすることがあります。仮にそうであっても皮膚に色を入れていることに変わりはなく、それを除去するとなると切除法やレーザー治療などを行う必要があります。 例えば切除法によって眉毛のアートメイクを除去した場合、その部分の皮膚を取り除くことになるので眉毛の毛根もなくなります。そのため眉毛が生えてこなくなることもあります。皮膚の切除をしないレーザー治療であっても、レーザー照射によって眉毛の毛根がダメージを受けてしまい、やはり眉毛が生えてこなくなることがあります。 いずれも「気に入らなくなったから消して次のアートメイクを」という簡単な話ではないことが、こうした治療法からお分かりいただけると思います。
医学的見地からアートメイクは簡単に入れるべきではないと言えますが、消したいという時のこと以上に注意を喚起したいのは、アートメイクの施術環境です。 皮膚に針を刺して色素を入れるということは彫師が刺青を入れるのと全く同じ行為で、その針の衛生状態によってC型肝炎やHIVなどに感染するリスクが高くなります。しかもアイラインのアートメイクはまぶたの中でも目にとても近い皮膚に針を刺していくことになるので、目にダメージを与えてしまうリスクも付きまといます。 「化粧の手間が省ける」「飽きたら描きかえられる」といった宣伝文句に安易に乗っかることなく、アートメイクも刺青の一種であるという認識を持ってください。