温泉の刺青NGに賛否両論が巻き起こっていますが
温泉などの入浴施設やプールといった「肌を露出する場所」では、刺青のある人が入場できないというのが一般的な認識だと思います。以前からこのことに対しては賛否両論があったのですが、ここに来てその論争がより大きくなりつつあります。 その最大の理由は、年間2000万人を超える訪日外国人の存在です。特に欧米人にとって刺青(タトゥー)はファッションの一部であり、そのことが入浴やプールへの入場を断られる理由になるとは考えてもおらず、全国各地でトラブルが頻発しています。「昔から決まっているルールなのでお断り」と言ってしまうのはそれぞれの施設の自由なのですが、そうとも言えなくなっているのが東京オリンピックなど、今後さらにインバウンド消費が拡大すると見られている情勢です。 この問題は刺青を消したいと思う人にとっても大いに関わることなので、最新事情も交えてお話をしたいと思います。
実は、多くの方が持っている認識と現実にはギャップがあります。それは「刺青除去治療を受けたらきれいさっぱり消えるので温泉もプールも今すぐ入れるようになる」という誤解です。 確かに医学の力で切除をしたりレーザーで除去をすれば、刺青のある皮膚そのものがなくなったりレーザーによって目立たなくなるので、治療の結果によっては温泉もプールも気兼ねなく入れるようになります。しかし、全てのケースがそうなるわけではなく、一度皮膚の奥深くに入れたものを完全に除去することには難題も多いのです。 温泉など肌を露出する場所に行けるようにしたいという理由で刺青除去治療を考える人はとても多いのですが、その結果が100%消しゴムで消したようになるわけではないことを認識しておくべきでしょう。
外国人だけでなく日本人でも刺青をファッション感覚で入れている人は少なからずいるので、それらの人たちを門前払いするのは営業的にもったいないという考え方も出てきています。 特に地方の温泉地など経営が苦しいところにとっては、インバウンド消費は「神風」のようなものなので、条件付きでOKとしているところも徐々に出てきています。その条件とは「シールで刺青を隠す」というものが多く、シールを貼っている時点で刺青があることは分かるかも知れませんが、刺青が露出しているわけではないのでギリギリセーフにしてやろうというわけです。 スポーツジムでも同様の条件を付けているところが多く、シールを貼ってプールに入っている人を見かけることも少なくありません。
先ほどから温泉やプールを取り上げて刺青のある人の取り扱いについて述べてきましたが、実は銭湯とそれ以外とでは対応が違います。街の銭湯(公衆浴場)ではOKというところが多く、それ以外のスーパー銭湯や温泉、プールなどがNGとなっています。 この違いは何なのかと言いますと、銭湯が公衆浴場法という法律によって定義されているからです。この法律によると伝染病患者やとても不潔な人などは拒否することと定められているのですが、刺青がある人を拒否せよとは書かれていません。 規模の大きな入浴施設では厳しいのに、街にある銭湯では刺青のある人が普通に入っているとお感じの方も多いかも知れませんが、その理由は法律の規定ということです。 いずれにせよ、賛否両論が巻き起こるほど刺青が社会から良くは思われていないのは事実です。これから刺青をお考えの方には再考をオススメしたいですし、すでに刺青がある方で消したいとお考えの方は、きちんと治療法が確立している医療機関で最大の効果が得られるような治療を受けられることをオススメします。