刺青除去治療は、心の治療でもある
自分自身が刺青を入れたことがない人だとイメージしにくい話ですが、一旦は自分の意志で刺青を入れた人が、後になってやっぱり消したいとなった時に検討するのが刺青除去治療です。 シンプルに考えると、同一人物にここまで大きな心境の変化が訪れていることになります。そこには一体何があったのかはかは本人のみぞ知るところですが、刺青除去治療を実際に行っている当事者にとっては、それも大きなウェイトを占める場合があります。
刺青を消したいと思う人の心境は理解しやすいという人が多いと思いますが、逆に刺青を入れたいと思う人の心境はなかなか推し量るのが難しいものです。刺青を入れる時は針を刺すので当然ながら痛いですし、面積によっては相当なお金もかかります。しかも、そこまでして入れた刺青は一生消えることがなく運命共同体として生きていくことになります。 そこまでするのには、よほど何かあったの?と思う人が多いのも、無理もありません。 実際のところ、刺青を入れる人の心境はどんなものかと言いますと、そのほとんどが勢いやその場の気分、雰囲気といったもので意外にも軽い理由です。もっとも、これは刺青を消したいということで当院に来られる方々だけの声なので、刺青と一生添い遂げる覚悟で消すつもりもないという人がどう考えているかは、分からない部分もあります。 勢いで入れてしまった刺青は、その気分が元に戻った時に必ず後悔となります。「その場の勢いで大変なことをしてしまった・・・」という心境はやがて、「この刺青、消せないだろうか?」となるわけです。
このように、刺青を入れた時と消したいと思う時の心境には大きな違いがあります。中にはドラッグの影響で刺青を入れたという人もいるそうですが、その人がドラッグの呪縛から解放されると、やはり「大変なことをしてしまった」という後悔の念にかられることでしょう。 こうした事情を踏まえて、当院では事前のカウンセリングにかなりの時間と手間をかけています。刺青を除去するための治療にもある程度は決心が必要なので、カウンセリングを通じて心のケアをしながら治療の意思を確認していく必要があるので、刺青除去治療は心の治療でもあると感じています。 入れてしまった刺青のことをあれこれ悩んでも、勝手に消えてはくれません。まずは話を聞いてもらおうという気持ちでクリニックに受診してみるだけでも、心のケアになればいいと思います。