わきがと多汗症の、密接な関係
わきがはエクリン汗腺とアポクリン汗腺、そして皮脂腺の3つが揃った場所で起こります。エクリン汗腺から分泌される水分の多い汗によって、アポクリン汗腺から分泌された汗が広範囲に広がり、皮膚の表面にいる雑菌類と接触し、雑菌類が繁殖してアポクリン汗腺から出た汗の成分が腐敗することで臭いが発生します。そこに、さらに皮脂腺から分泌された脂肪と合わさって強い臭いになっていきます。これが、わきが特有の臭いが発生するメカニズムです。
臭いが発生するメカニズムを考えると、多汗症の方はわきがになりやすいといえます。それはなぜかというと、多汗症は自律神経やホルモンバランスの乱れ、肥満など何らかの原因でエクリン汗腺から多量に汗が分泌されます。このエクリン汗腺から分泌された汗そのものにはわきがの原因となる成分はないものの、多量の水分のせいでアポクリン汗腺から分泌された汗を、より広範囲に拡散してしまうため、結果的に臭いを増長してしまう可能性があるのです。
多汗症である可能性がある人の特徴として、冬にも汗をよくかいていることがあげられます。また、仕事などで精神的に緊張したり、興奮したときに多量に汗が出る人も多汗症である疑いがあります。誰でも精神的に緊張したり興奮した時は手や脇に汗をかくものなのですが、その汗が服をベットリ濡らすほどだったり、手から雫が滴り落ちるほどの量であれば多汗症である可能性を視野に入れる必要があるでしょう。
わきがは最初は症状が軽くて、本人が気付かないレベルである場合であっても、放っておくと症状が進行してきます。多汗症を併発している場合は、それがさらに増長されてしまう可能性があるので、「もしかして、自分は当てはまるかも」と思われる方は一度、医療機関での診察を受けて客観的な状況を知ることをオススメします。 わきがや多汗症は人になかなか相談できず、一人で悩んでしまう方が多く見受けられます。しかし、これらの症状は医学的な治療によって改善できます。 当院ももちろん「わきが、多汗症」の外来診療を行っています。10分程度の注射をするだけで、汗腺の働きを止めて臭いや汗を抑える治療法もご用意しています。 お悩みの方は、心理的に非常に辛い思いをされていることでしょう。一人で抱え込まずに、まずは専門家によるカウンセリングを受けてみるだけでも、気が楽になると思います。