わきがの原因「アポクリン腺」と「エクリン汗腺」とは?

わきがはご存知の通り、腋(わき)から強烈な臭いがすることです。人によっては陰部やおへそ等からも臭いが出てくる場合もあります。これは病気ではなく、体質によるものです。では、わきがが臭う原因とは何なのでしょうか?それには「アポクリン腺」と「エクリン汗腺」が大きく関わっています。 人間にある2つの汗腺のうちの一つが、エクリン汗腺です。エクリン汗腺は唇や爪などを除いたほぼすべての箇所に分布しており、ここから私たちが「汗」と呼んでいるエクリン汗が出ます。エクリン汗腺は日本人の場合、平均で約350万本、1平方センチメートルあたり約200~300本ほど分布しています。ここから一日約1.5~2リットル分泌されるエクリン汗は粘り気や臭いがなく、日々の体温調節、皮膚の表面にいる菌の殺菌などの役割を持っています。
一方で、アポクリン腺は主に人間の腋にあり、他には陰部のような固くてゴワついた毛の付け根や、おへそ、乳首、肛門周りなどにも分布しています。アポクリン汗腺から分泌されるアポクリン汗の成分は中性脂肪や脂肪酸といった脂肪、鉄分、尿素、アンモニア等で、粘り気のある乳白色の汗であり、一定の周期でジワジワと出てきます。 この2つの汗腺と皮脂腺が揃うことで、ワキガの原因であるあの臭いが発生します。なので、アポクリン汗腺がある場所ならどこでも、わきがと同じ臭いが出てくる可能性が十分あるのです。 では、なぜアポクリン汗腺がある箇所ではわきが臭が発生するのでしょうか。これについてはさまざまな説がありますが、もっとも有力な説として、細菌との関係が指摘されています。
人は汗をかく必要性が生じた時、アポクリン汗腺とエクリン汗腺から汗が分泌されます。エクリン汗腺から出た水分の多い汗によって、アポクリン汗が腋の下全体やアポクリン汗腺がある箇所の周辺に広がります。その汗と、肌の健康を守るために皮膚の表面に住み着いている常駐菌やその他細菌の雑菌類が接触することで、アポクリン汗腺の成分が腐敗します。その腐敗臭に皮脂腺から分泌された脂肪も加わって、さらに強い臭いになっていきます。この臭いこそがわきがの臭いの正体です。こうして文字にするだけもわきの下で大変なことが起きていることをイメージできると思います。
臭いの原因となるアポクリン汗腺と雑菌類の接触を防ぐため、市販のデオドラントには殺菌有効成分が含まれているのです。しかしこうした対策は対処療法的なものであって根本的な解決にはなりません。わきがの悩みから解放されるには、医療機関における根本的な治療を強くオススメします。